名探偵夢水清志郎事件ノート

夢水清志郎

考えてみると、江戸川乱歩が創作した少年探偵団は、名探偵明智小五郎をサポートする役割と共に、探偵小説の読者を大人から低年齢層まで広げることに成功した、画期的な存在でした。

そして現在ではサポートするのではなく少年が探偵になって活躍する物語も、すでにメジャーな作品になっています。

特に有名な作品と言えば、主演を変えて何度もテレビドラマ化されている「金田一少年の事件簿」や、テレビアニメ化されて劇場版アニメが何本もあってすでに長寿番組になっている「名探偵コナン」でしょう。

その一方で、少年が探偵になるわけではありませんが、低年齢層からの広い支持を受けて1994年から2009年までの15年にわたって刊行された、シリーズ累計360万部を突破している探偵ものの推理小説シリーズがあります。

それが講談社の児童書レーベルである青い鳥文庫から刊行されている人気シリーズ「名探偵夢水清志郎(ゆめみず きよしろう)事件ノート」シリーズです。

著者は、はやみねかおる。背表紙に対象年齢は「小学上級から」と書かれています。

ジャンルはジュブナイルミステリです。漢字にルビが振ってあるので子供が読みやすいように配慮されています。

ほぼ全編にわたって殺人事件が起こらないことが作品の特徴です。

夢水清志郎とは

夢水清志郎は名探偵を自称する自信家です。

持ち歩いている自作の名刺には「名探偵 夢水清志郎」と書いてあります。

名探偵の仕事は単に事件を解決するだけではなく、「みんなが幸せになるように事件を解決すること」と考えています。探偵の美学を持っているのです。

実際に数々の事件を解決しているので探偵としては一流ですが、一般的な常識や記憶力を持ち合わせていないのが玉にキズです。

なぜか自分の年齢や生年月日も含めて、過去に解決した事件のことさえも覚えていないのです。

このシリーズの主な語り手は「岩崎亜衣」です。夢水清志郎が引越してきた洋館の隣に住んでいる岩崎家の三姉妹の長女です。

この洋館が探偵事務所となりますが、対象年齢が低いことから興信所の真似事をすることはあっても浮気調査や不倫調査などはなく、尾行等があってもゆるいものです。

岩崎三姉妹は彼が元M大学の論理学の教授であったことから「教授」と呼びます。岩崎亜衣は「教授の飼育係」を自称しています。

名探偵夢水清志郎の作品

「名探偵夢水清志郎事件ノート」シリーズは、

「そして五人がいなくなる」「亡霊(ゴースト)は夜歩く」「消える総生島」「魔女の隠れ里」「踊る夜光怪人」「機巧館のかぞえ唄」「人形は笑わない」「ミステリーの館へ、ようこそ」「あやかし修学旅行鵺のなく夜」「笛吹き男とサクセス塾の秘密」「ハワイ幽霊城の謎」「卒業~開かずの教室を開けるとき~」

の全12作です。

外伝として「ギヤマン壷の謎」「いつも心に好奇心」「徳利長屋の怪」「オリエント急行とパンドラの匣(ケース)」があります。

2011年からセカンドシーズンとして「名探偵夢水清志郎の事件簿」シリーズが刊行中です。