水乃サトルシリーズ

日本の探偵小説の創設者といえるのは江戸川乱歩です。

その名探偵である明智小五郎を創始とする日本の名探偵たちの系譜としては一概に言えないほど、さまざまなキャラクターが登場して多種多様、あるいは百花繚乱とも言えそうな様相です。

その中でも三人の名探偵のシリーズを持ち、どれも刺激的な内容で面白く読めるのが二階堂黎人(にかいどう れいと)の探偵小説です。学歴は中央大学の理工学部卒業。大学在学中に「手塚治虫ファンクラブ」の会長を務めました。

1990年の第1回鮎川哲也賞に「吸血の家」で佳作入選したのがデビューのきっかけです。1992年8月に二階堂蘭子シリーズの第1作目「地獄の奇術師」で作家デビューしました。

このシリーズは復古調の探偵小説的作風ですが、あとのふたつは奇妙な、オリジナリティあふれる作風です。ひとつはボクちゃん探偵シリーズと呼ばれる作品たちです。これは幼稚園児が主人公なのに、語り口がハードボイルド調ということが特徴です。

もうひとつが、ご紹介する水乃サトルシリーズです。こちらは、主人公の水乃サトルが名探偵となり、様々な事件を解決へと導くストーリーです。

しかしこの水乃サトルという人物、長身ですごくハンサムなので黙っていればいい男なのですが、度を越した多趣味やマニアックな好みや奇行によって周囲から変人の烙印を押されているキャラクターなのです。

大学生編と社会人編があり、短編集では「名探偵水乃サトルの大冒険」もあります。

大学生編は「奇跡島の不思議」「宇宙神の不思議」「稀覯人(コレクター)の不思議」「智天使(ケルビム)の不思議」「誘拐犯の不思議」です。

全て、「何々の不思議」でタイトルが統一されています。立場が学生なので学校の友だちやオカルト的な関係から事件に繋がっていくのが特徴です。

社会人編は旅行代理店で課長代理として働く中で、国内の観光名所や各シーズンの新しいプラン作りやリゾートの視察などで各地に出張して、その先々で事件に巻き込まれるのがパターンになっています。サトルに好意を持つ後輩の女子社員の美並由加理とのコンビによる、旅情ミステリ風なのが特徴です。

作品は「軽井沢マジック」「諏訪湖マジック」「猪苗代マジック」「鬼蟻村マジック」「東尋坊マジック」です。全て、「何々マジック」でタイトルが統一されています。

学生の頃はもちろん、社会人でも本職は旅行代理店勤務で探偵事務所を構えているわけではありませんが、巻き込まれたり首を突っ込んだりする事件の解決のために、尾行調査や素行調査だけでなく場合によっては浮気調査や不倫調査の結果まで情報として入手できてしまうこともあります。

初めて読んだのは「奇跡島の不思議」でした。シリーズの1作目に当たりますが単行本で早めに読んだので、最後の方になって何の前触れもなく唐突に、それまでの登場人物とは何の関係もない水乃サトルが登場して事件の解決だけをして去っていく内容に、これは探偵ものだったのか、と驚きました。まさかその後シリーズになるとは思ってもいませんでした。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする